両親を亡くし孤児院で育ったミンと、封建的な植物学者の父親に従うアン。ミンは湖に浮かぶ植物園に実習生として迎えられ、二人は出会う。姉妹のような安らぎを覚え、かけがえのない人を見いだした喜びの中で、二人の関係は許されない愛へと高まっていく。むせかえるほどの緑につつまれた楽園に咲きみだれる秘めやかな陶酔。だが激しくも純粋に求め合い、永遠の愛を願う二人には、残酷な運命が待ち受けていた…。
『小さな中国のお針子』で文化革命時代の青春をみずみずしく謳い上げたダイ・シージエ監督は今回、中国ではタブーとされる同性愛をテーマに挑んだ。きめ細かな心理描写と映像美は、同じアジアの映像作家であるトラン・アン・ユン監督の『青いパパイヤの香り』『夏至』やキム・ギドク監督の『サマリア』『弓』と同質の肌触りを残す。そして厳格な植物学者の父と粗暴な軍人の兄とは対極をなす娘二人を通じ、儚げで力強い女性の美しさを見事に表現している。
ミン役には、豊満な美しさと神秘的な緑の瞳を持つミレーヌ・ジャンパノワ。フランスで最も注目されるミューズとして、映画の枠を超えた活躍をしている。一方、のアン役には、華奢で色白な中国女優のリー・シャオラン。『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』でのアクティブな悪女役から一転、本作では寡黙な名演を披露している。この二人の女優からきわ立つしっとりとした東洋的な美しさは、詩的な情景の中で際立って光る。
中国での撮影許可を得られなかったスタッフは隣国ベトナムでロケ地を敢行。アジア特有の景観と湖に浮かぶ幻想的な植物園によってエキゾチックな映像詩に仕上がった本作は、2006年モントリオール世界映画祭で観客賞に輝き、撮影を担当したギイ・デュフォーは最優秀芸術貢献賞を受賞した。
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